妊婦は風邪をひきやすい?免疫力低下とその対策

妊娠すると風邪を引きやすくなった…、治りが遅い…、といった経験がある方は多いと思います。それは何故でしょうか?

妊娠すると、生理的な変化を始め、全身が大きく変化します。

その原因の1つとして、「免疫力の低下」があります。

 

私達を取り巻く環境にはウイルス、細菌、カビといった病原体や、花粉、ハウスダストといった物質が異物として数多く存在しています。こうした異物から、体を守る仕組みのことを「免疫」と言います。免疫という働きは、沢山の細胞の共同作業によるものです。

免疫システムを担っているのは、血液中の白血球です。白血球はマクロファージ、顆粒球、リンパ球があります。

 

免疫には「自然免疫」と「獲得免疫」というものがあります。

異物が体内に侵入すると、すぐに対抗する抗体を作り、攻撃します。

これを自然免疫といい、マクロファージや顆粒球、樹状細胞、NK細胞などがそれにあたります。生まれつき体に備わっており、自分の体を異物から守る大切な仕組みです。

そして、体に異物が侵入するとまず、自然免疫が対応しますが、取り逃がしたものをリンパ球であるT細胞やB細胞が攻撃し処理します。これを獲得免疫といいます。

自然免疫細胞であるマクロファージから異物の侵入の情報を受け取った獲得免疫細胞であるヘルパーT細胞は、異物がウイルスや細菌である場合にはTh1細胞へ変わり、自ら異物と戦えるキラーT細胞へ指示を出したり、B細胞に抗体の種類を記憶させようとします。

そうすることで、一度攻撃した異物を抗原として記憶し、次の侵入の時には効果的に攻撃する事ができるのです。「はしかに免疫がある」などと言ったりすりのは、このシステムのことです。

 

このように妊娠していないときであれば、免疫システムがしっかり機能し、微細なウイルスでも体内に侵入すれば感知し、排除する働きが保たれていました。

しかし、妊娠すると状況が変わります。

 

胎児の半分は父親の遺伝子であり、染色体なども受け継いでいます。そのため、母体の免疫システムがそのままだと、胎児が発現する父親由来の抗原を感知し、赤ちゃんを異物としてみなしてしまいます。

そのため、ママの体自身の細胞性免疫を低下させることで、免疫システムから赤ちゃんを守っているのです。それを「免疫寛容」といいます。

免疫寛容により、赤ちゃんの成長は可能となりますが、ママの体は異物に対する抵抗力が低下してしまいます。 これが、風邪などを引きやすくなってしまう原因の一つだったのです。

 

これらは、赤ちゃんを守り育てるためには必要なことではありますが、風邪や感染症にかかることなく、体調良く過ごすことも大切です。

 

では、実際に免疫力を高める方法とは…?

 

1 腸内環境の改善、便秘の改善

 

食物を消化、吸収し排泄するのが腸です。食物に付着した病原体が侵入することを防ぐため、腸には免疫力が備わっている必要があります。

免疫細胞の多数は腸内細菌として存在しています。

そのため、腸内細菌を善玉筋優位に保ち、腸内環境を良好に整えることで免疫力の低下を防ぐ事が出来ます。

妊娠中は便秘にもなりやすくなります。水分をしっかりとり、食事に気をつけ、適度な運動を行ないましょう。

 

2 食生活の改善

 

免疫を高めることができる免疫細胞は、主にタンパク質から出来ています。

そのため、免疫細胞の活性化には、タンパク質が必要になります。

 

また、ビタミンも細胞の免疫機能の保持を行なうといわれています。

さらに、ミネラル類も、免疫細胞の保護をするために重要です。

また、発酵食品や食物繊維は、腸内環境を整え、便秘の解消にも役立ちます。

免疫力を高めるためには、これらの栄養素をしっかりとるために、多くの種類の食材をとることが理想的です。

 

3 自律神経のバランスを整える

 

自律神経は白血球の数や働きも調整するとされています。

自律神経が内臓を調節する際に、交感神経はアドレナリン、副交感神経はアセチルコリンを分泌しますが、顆粒球にはアドレナリン、リンパ球にはアセチルコリンの受容体があります。

そのため、交感神経が優位になると、アドレナリンの分泌により顆粒球が反応して数が増え活性化、副交感神経が優位になると、アセチルコリン分泌によりリンパ球が反応し数が増え活性化することになります。顆粒球も増えすぎると、体内で無毒化できなくなり、組織の破壊をはじめ、免疫力の低下を引き起こします。また、リンパ球も同様で増えすぎるとアレルギー反応がおこります。

そのため、どちらかに偏る事なく、自律神経のバランスが保たれている事が大切です。

 

4 質の良い睡眠をとる

 

現代では、夜遅くまでテレビやインターネットをみたりなど、交感神経優位になりがちな生活をしていることが多いといえます。夜更かしをしすぎず、また長く寝過ぎることもせず、早寝早起きが理想です。

質の良い睡眠をとり、自律神経のバランスを良くする事で、顆粒球やリンパ球のバランスを整える事ができ、結果として免疫力を高めます。

 

気温も下がり、感染症が流行するこの季節ですが、自律神経のバランスを整えて、免疫力をアップしましょう!

 

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました

 

 

 

ウーマンズヘルスケア研究会

 

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