妊娠に伴い現れる様々な身体の変化。
胎児は日々成長し、子宮は大きさを増します。
その上、血液や体液も増えていきます。
それらに伴い、基礎代謝や糖代謝、たんぱく質代謝、脂質代謝は大きく変化していきます。
では、一体どのように変化がみられるのでしょうか。
●基礎代謝
胎児の存在により、酸素の消費量は約20%増えるため、基礎代謝率は8〜15%亢進します。
●糖代謝
胎児のエネルギー源として、胎盤を通し、多くの糖が胎児に送られます。
妊娠に伴う母体臓器の需要が増えることや、分娩後の授乳に備えるために糖質の摂取需要は高まります。
ほとんどは炭水化物から得られます。
妊娠していない方と比較すると、妊婦は空腹時血糖が低く、食後の血糖値は高い傾向にあります。
これは、胎児の糖消費が増大することが原因と考えられます。
特に、妊娠末期に向けて胎児は急激な成長をし、糖消費が増大するため、胎児にブドウ糖が供給されます。
結果として血糖値は非妊娠時よりも低い状態となります。
妊娠時の母体では胎児が成長するに伴い、インスリン抵抗性は強くなります。
そして、インスリン分泌量は増え、高インスリン血症傾向になります。
そのため、妊娠中の糖尿病悪化や、妊娠糖尿病には注意が必要になります。
その他にも、腎臓では糖排泄閾値の低下がみられます。
そのため、再吸収されるより、多くの糖が糸球体を通過するので糖尿がみられることもあります。
●たんぱく質代謝
食事中のたんぱく質から得られた窒素は、妊娠に伴い母体内への蓄積量は増えていきます。
約半分は胎児や胎盤の発育で利用され、残りは母体の乳房、子宮、血液に溜め込まれ、分娩時の出血や分娩後の子宮復古、授乳に利用されます。
血清中の総たんぱく質濃度は、妊娠中の血液希釈により、見かけ上は低下します。
いくつかの血清たんぱく質の比率にも変化が起こり、アルブミンが低下し、グロブリンとフィブリノゲンは上昇します。
グロブリンはホルモンや鉄などの様々な物質を運ぶ役目を担っており、これらの物質は妊娠中に著増するためにグロブリンの需要が増えると考えられます。
●脂質代謝
脂肪組織は非妊娠時には体重の15〜25%であり、コレステロール、脂肪酸は主として脂肪組織にトリグリセリドの形で貯蔵されます。
妊娠に伴い、後期には体重が約10kg程度増加しますが、そのうちの約4kgが脂肪組織となります。
脂肪は、妊娠中の母体の貯蔵エネルギー源として蓄積されます。
妊娠30週までに約4kgの脂肪が腹壁、背部、大腿部などに貯蔵されます。
脂肪摂取の増加と、グルコースから脂質への転換が増加することで、血液中の総コレステロール、中性脂肪は著増します。
このように、妊娠に伴いみられる代謝の変化ですが、糖代謝と脂質代謝は密接に関連しているため、それぞれを理解しておくことが大切です。
妊娠により様々な変化を引き起こしますが、
事前に症状を把握しておくことで、
受け入れやすく、穏やかに過ごせるでしょう。
最後までお読みいただきありがとうございました✨
ウーマンズヘルスケア研究会
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