女性アスリートの諸症状

女性アスリートをみる上で「女性アスリートの三主徴」は知っておくべきこととして取り上げられています。

海外では早期より問題視され、日本でも考えられるようになってきています。

 

女性アスリートの三主徴とは、

①利用可能エネルギー不足

②運動性無月経

③骨粗鬆症 

の3つです。

 

この3つは継続した激しい運動により引き起こされます。

 

まず一つ目の

利用可能エネルギー不足についてです。

利用可能エネルギーとは、

食事からとる摂取エネルギーから運動による消費エネルギーを引いたものでこれは日常生活で使用されるエネルギーとなります。

 

運動で消費するエネルギーに対して摂取するエネルギーが不足することで、パフォーマンスが低下するだけでなく、

卵巣を刺激する黄体形成ホルモンの分泌が低下したり骨代謝に影響を与えるなど見えないところで様々な症状が引き起こります。

 

二つ目に無月経についてです。

月経が3ヶ月以上こないことを続発性無月経といいますが、その中でも運動によるものを運動性無月経といいます。

その原因はエネルギー不足や身体的・精神的ストレス、体重・体脂肪の減少などがあげられます。

 

実際に女性アスリートへのアンケート調査では約40パーセントが無月経を含む月経周期異常を認めているとの報告があります。

 

次に三つ目の骨粗鬆症についてです。

エネルギーが不足し、月経が止まってしまうと骨が壊れることを抑制するエストロゲンが不足してしまいます。

 

エストロゲン不足により骨量の低下を認め、結果的に骨粗鬆症を引き起こしてしまいます。

 

女性アスリートでは疲労骨折を起こしてしまうケースもあるようです。

実際、アンケート結果でも10代の女性アスリートにおいて疲労骨折の発症率が高いことや

正常月経周期のアスリートに比べて無月経のアスリートの方が疲労骨折の発症率が高いとの報告もされています。

 

このことから無月経は疲労骨折の危険因子といえます。

また、思春期の骨密度増加率が高い時期や骨量がピークになる大事な時期に必要なエネルギーが不足すると

将来の健康に影響を及ぼしまいます。

 

これら女性アスリートの三主徴の予防・対策としては、基本的に食事や運動量の調整になります。

思春期の骨や生殖器の成長時期に

・十分なカルシウム等の栄養素の摂取

・適切な運動負荷

・順調な月経

を保つことが重要になります。

 

また、女性アスリートは三主徴だけでなく一人の女性として月経や貧血などと様々な影響をうけています。

月経周期の中では、エストラジオールやプロゲステロン値の変動、月経随伴症状などにより女性アスリートの体調は変動します。

 

あるアンケート調査によると85%のアスリートが月経周期に伴うコンディションの変化を自覚しているとの結果が出ています。

 

コンディションの良い時期としては「月経終了直後から月経後数日」が大部分であり、

コンディション不良の時期としては、「黄体期から月経中」という結果となっています。

 

黄体期にコンディション不良となる原因は、月経前症候群(PMS)が主にあげられます。

海外ではコンディション不良などの不安を取り除くためにも無月経を当たり前とせず、

低量用ピルなどを使用し大会に合わせて月経を移動させることも多いようですが日本ではまだ少ないようです。

 

また、黄体期から月経期にかけて骨盤がゆるくなり、卵胞期には閉じるなど月経周期に合わせて関節の柔軟性も変化します。

 

女性アスリートに関わる指導者は、アスリートであるとともに女性であるということを考慮し

月経周期やホルモンバランスを考えながらリスク管理する必要があります。

 

消費エネルギーに応じた栄養管理だけでなく、年齢や月経周期に応じたトレーニングの強度、頻度、

体重コントロールに留意するなど包括的にみていく必要があります。

 

月経やPMSに関しては男性には言いにくく、男性側からもききにくいこともあるかもしれません。

共にサポートしている女性スタッフや家族などが聴取することや

リスク管理のためと理由を説明することで把握・管理は可能ではないでしょうか。

 

これらの知識や対策をスポーツをする本人だけでなく、家族や指導者が知っておくことで予防につながると幸いです。

 

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました

 

 

 

  

ウーマンズヘルスケア研究会

 

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