認知症の患者数は世界規模で増えており、今後も増加すると予想されています。
さらに団塊の世代が75歳以上となる2025年には、65歳以上の5人に1人が認知症になると推定されています。
高齢になるとより発症率が増加しますが、それだけでなく認知症にもさまざまな種類があり、
将来誰もがなりうる可能性があります。
認知症のなかでも一番多いのがアルツハイマー型認知症といわれ、次いで脳血管性認知症があげられます。
アルツハイマー型認知症は約6-7割を占めており女性に多い認知症でもあります。
認知症の原因としては、
食生活の欧米化や運動量の減少、社会的な交流の減少などの生活スタイルの変化によるといわれており
特にアルツハイマー型認知症の増加にこれらが関係していると考えられています。
ある研究では、9つの生活スタイルが認知症の発症要因の35%を占めるとの報告がありました。
9つの生活スタイルとは、
①若年期の早期教育の不足
②中年期以降の高血圧
③肥満
④高齢期の難聴
⑤喫煙
⑥うつ病
⑦社会的な孤立
⑧運動不足
⑨糖尿病
です。
①②③④の改善により認知症の発症率を低下させることができるといわれています。
また、⑤⑥⑦⑧⑨の改善によりさらに認知症の発症率を低下させることができるとの報告もあります。
運動は高血圧や糖尿病、肥満などの生活習慣病やうつ病など他の要素とも関連しているため
今回は運動に着目してお話ししたいと思います。
運動をするということは、アルツハイマー病の発症リスクを最大で65%まで軽減するのに役立つといわれています。
運動により全身の血流を良くすることで生活習慣病のリスクを低下させるだけでなく、
脳の血流が良くなることで認知機能にも影響を与えるといわれています。
また、記憶に関与する海馬は加齢に伴い縮小しはじめますが運動することにより縮小する割合を減らすとの報告もあります。
認知症を予防するためには十分な血流が必要です。
血流が不足することで神経細胞の活動は低下します。
女性に多いアルツハイマー型認知症の方においては大脳皮質や海馬で脳血流の低下がみられます。
大脳皮質や海馬には、アセチルコリンを放出する神経あります。
運動しアセチルコリンを活性化させることで脳の血管が広がり、大脳皮質や海馬の血流が良くなるといわれています。
またアセチルコリン神経の働きを高めることにより神経細胞のダメージを軽減するとの効果もあるようです。
歩行することで海馬の血流が増加するとの結果も出ています。歩行速度としては無理のない範囲で歩行する方がアセチルコリン量は増加しやすいとのことです。
運動により認知症を改善するということは未だ明らかになっていませんが、
認知症の予備軍ともいわれる認知機能が低下している状態に関しては改善するとの報告がされています。
では認知症予防のためには実際にどのような運動でどの程度運動するといいのでしょうか?
認知機能を高める効果がある運動は、ウォーキングやジョギング、水中歩行などの有酸素運動があげられます。
これらを20~30分程度、自覚症状としてややきついと感じる程度で行うと効果的といわれています。
また、最近では運動をしながら脳を使うデュアルタスクが注目されています。
デュアルタスクとは二重課題を行うことで日常生活を送る上で当たり前のように行っていますが
高齢や認知機能の低下に伴い難しくなってきます。
デュアルタスクを行うことで身体だけでなく脳への刺激にもなり認知機能を高める効果があるといわれています。
例えば、歩きながら足し算や引き算をすることやステップ運動をしながらしりとりをするなど
簡単な運動に頭を使う課題を加えることなどがあります。
道具を使わず行える歩行や家事をしながら計算やしりとりを行うなどの
デュアルタスクは日常生活のなかに取り入れやすいので進めてみてはいかがでしょうか。
最後までお読みいただきありがとうございました✨
ウーマンズヘルスケア研究会
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