妊娠中や産後の女性において、腰痛はよくみられるマイナートラブルの1つです。
妊娠期の腰痛は後期には68%、産褥期では45%、産後3年経過しても17%が継続しているとの報告があり、
妊娠中から産後にかけて多くの女性の悩みの種となっています。
妊娠4ヶ月~7ヶ月頃まで、リラキシンホルモンの影響により、
靭帯が弛緩し仙腸関節と恥骨結合に関節の緩みが生じるとされています。
その為、体型の変化が少ない初期のころから腰痛が出現する事もあります。
妊娠期、産後の腰痛の原因としては大きくわけて2つ挙げられます。
1つ目は骨盤帯の不安定性に由来するもの、
2つ目は、不良姿勢によるものです。
骨盤不安定性由来のものに対しては、一般的にはインナーユニットの機能向上が効果的です。
また、妊娠後期では、胎児の成長につれてお腹が大きくなる為、姿勢や運動戦略の変化がみられ、
不良姿勢となり、腰痛が出現しやすくなります。
そしてこれらの姿勢の変化は、産後にそのまま継続している事も多くみられます。
産後には、出産直後から四六時中、抱っこという動作が加わります。
不良姿勢のまま、抱っこ動作を続ける事により、更なる腰痛を招く恐れがあります。
実際に、抱っこをしている時、どのような姿勢となりやすいのでしょうか?
立位で赤ちゃんを抱っこするときの姿勢の傾向として、上部体幹が後方変位したsway-backの姿勢となりやすくなります。
また、左右いずれかの一方で抱える場合には、一側の上肢で支え、
脊柱や骨盤が左右に変位し、左右非対称となる傾向があります。
更に、多く見られるのは、腰椎を前彎させ、腹部を前方に突出させ、
骨盤帯に赤ちゃんを乗せ腹部で支持する姿勢をとる方法です。
これらの姿勢では、腹筋を使用していなかったり、左右非対称な姿勢となっていたりで、腰部への負担も増強してしまいます。
このような不良姿勢を繰り返すことで、骨盤帯のみならず全身の歪みを助長します。
そうならない様、できるだけ腹筋群を使うように意識して抱っこすることが大切です。
抱っこ動作のポイントとしては、
①手を使って抱っこをする場合、母親の重心近くである胸あたりで赤ちゃんを抱きかかえ、
できる限り脊柱のアライメントを良肢位に保つこと
②脊柱や骨盤が左右に変位した姿勢を避けること
③一側上肢に頼らず左右交互に抱っこすること
両手での抱っこも併用すること
④両手で抱える場合には手関節は背屈と掌屈を交互に行うこと
などが挙げられます。
これらを注意し抱き方を工夫する事が出来ると、腰痛などのマイナートラブルの予防または症状の軽減につながります。
場合によっては、スリングやベビーキャリーを使用することも有効です。
しかし誤った方法で装着する事によりトラブルを助長する恐れもあるため、正しい方法で装着することが必要です。
抱っこをするというのは、赤ちゃんとの愛着形成においてもとても重要です。
母親にも赤ちゃんにも快適な抱っこが出来るように、普段から姿勢を気にかけ、
良い抱っこ姿勢をとることが出来るよう、指導することが大切ですね。
最後までお読みいただきありがとうございました✨
ウーマンズヘルスケア研究会
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