妊娠中の脱水に要注意!

体液は小児では体の約70%、成人では約60%、高齢者では約50%を占めています。

 

体液は

① 酸素と栄養素を体内に運搬する

②尿や汗として老廃物を体外に排出する

③発汗により体温を調節する

という、重要な働きをになっています。

 

体液とは、水分に加え、ナトリウムやカリウムなどの電解質、タンパク質で構成されています。

電解質にはそれぞれ役割があり、常に濃度が一定となるようにバランスを保っており、

このバランスが崩れると様々な不調をきたしてしまいます。

 

妊娠時に脱水になる要因としては、

まず、つわりによる嘔吐や食欲減退、水分摂取が不足することなどが挙げられます。

 

また、妊娠後期においても、子宮が大きくなり胃や腸を圧迫する事により、

吐き気や嘔吐をもよおすこともあるため、注意が必要です。

 

また、妊娠中は代謝系の変化があり、基礎代謝が上昇するだけではなく、

胎児の成長に伴い糖代謝、脂質代謝、タンパク質代謝、水代謝などが変化するため、

汗をかきやすい状態となることも、要因となります。

 

妊娠時の脱水による基本的症状は、

・脱水症の症状

・便秘

・むくみ

などが挙げられます。

 

 

【脱水症のタイプ】

 

脱水では水分が失われるだけではなく、電解質も同時に失われます。

 

①高張性脱水(水欠乏性脱水)

⇒細胞内液の水分が不足する脱水。

 

<原因>発熱や水分の摂取不足や尿量の増加が原因となる。

 

<症状>こどもや高齢者に多く、のどの渇き、体温の上昇、発熱などを伴い、尿量の著明な減少などが見られる。

 

 

②低張性脱水(ナトリウム欠乏性脱水)

⇒ナトリウムの不足による脱水。

 

細胞外液中の水分が細胞内液に移動するために、循環血液量の減少が大きく、血圧低下が著明にあらわれる。

心臓が末梢組織への酸素供給をするために頻脈となり、血液濃度の上昇のため粘度があがるため、ヘマトクリット値が上昇する。

 

<原因>

下痢、嘔吐、副腎機能の低下、大量の発汗、利尿剤の服用、腸閉塞、腹膜炎、

糖尿病アシドーシス、熱傷や創傷による滲出液の排出など

 

<症状>

口の渇きはあまりなく、尿量の変化も少ない。意識障害などの神経症状が出る事が特徴。

嘔吐、頭痛、低血圧、麻痺、頻脈、意識障害。皮膚の色は青白く、温度は冷たくなる。

 

 

③等張性脱水(混合性脱水) 

⇒ 水分、ナトリウムともに不足するため、濃度に変化がない脱水。

 

<原因>出血や下痢、熱傷など。急速に細胞外液が失われることで起こる。

 

<症状>口の渇きや尿量の減少、食欲不振、嘔吐、めまい、倦怠感などが見られる。

 

【脱水量と脱水症状・徴候】

 

水分減少率 2% ⇒ のどの渇き

      3% ⇒ 強い渇き、ぼんやりする、食欲不振

      4% ⇒ 皮膚の紅潮、イライラする、体温上昇、疲労困憊、尿量の減少と濃縮

      5% ⇒ 頭痛、熱にうだる感じ

      8~10% ⇒ 身体動揺、痙攣

      20%以上 ⇒ 無尿、死亡

 

体内の水分が2%失われ始めると、のどの渇きや運動機能の低下が起こります。

10%以上になると死に至る事もあるため、注意が必要です。

 

【対策】

 

▼では、実際に妊婦に必要な水分量はどれくらい?

 

妊娠中は食べ物以外から、1日に2リットル摂取することが必要です。(非妊娠時1~1.5リットル)

赤ちゃんに送る血液量が必要であることや羊水に水分を使用すること、新陳代謝の増加、

などの理由により、非妊時と比較して多く摂取することが重要です。

 

▼飲み物の種類とタイミングは?

 

コーヒーや紅茶などはカフェインが含まれ、利尿作用があります。

 

また、清涼飲料水は糖分が多く含まれます。

そのため、カフェインや糖分が含まれていない飲みものである、

麦茶や水、ルイボスティなどを常温で飲む事が良いと言われています。

 

タイミングは、1度に大量摂取するのではなく、1回に付き100~200ml程度を頻回に摂取するのが良いです。

自覚のない脱水を防ぐためにも、のどが渇く前に飲むことが大切です。

 

▼つわりで嘔吐するときは?

 

嘔吐などを伴うつわりがある場合には、電解質も合わせて補う必要があるので、経口補水液なども良いとされています。

 

しかし、

①食べ物を頻繁に嘔吐し受け付けない

②水分補給ができない

③3~5kg以上体重減少

④トイレの回数が急に減った

⑤日常生活に支障をきたす

 

これらに当てはまる場合は、自己判断せずに、早めにかかりつけの産婦人科を受診することが重要です。

嘔吐を繰り返す事により、ビタミンB1の欠乏によるウェルニッケ脳症などの危険性もあるため、

点滴などを行う必要がある場合もあります。

 

健やかなマタニティライフを過ごしていただくためにも、気温も高くなるこれからは十分な水分補給を促しましょう!

 

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました

 

 

 

  

ウーマンズヘルスケア研究会

 

お問い合わせ先  

📩 E-mail  womans.hc.study@gmail.com

 

 

 

 

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