妊娠・出産は病気ではありませんが、正常な状態ではなく、全身状態は大きく変化します。
出産したからといって、すぐに妊娠していない時の身体に戻るわけではありません。
出産にて身体は大きなダメージを受けており、産褥期での回復を経て、徐々に非妊娠時の状態へ戻っていきます。
その際、知ってさえいれば予防出来る事も沢山あるため、今回は、日常生活を行う上で気を付けた方がいい点を、いくつか紹介します。
●骨盤ベルトの装着について
骨盤ベルトの装着については諸説ありますが、必ずしも必要、というわけではありません。
関節の不安定性があり骨盤帯痛がある場合や、日常生活に支障をきたす場合には、装着にて安定性を獲得することは有用です。
しかし、装着する際にはいくつか注意点があります。
・長期的、継続的な装着はしないこと。必要な時期に、最低限の期間のみの装着を行う。
・正しい方法にて装着すること。装着する高さや、締めすぎに注意する。
長期的、継続的な着用により、インナーマッスルなどの筋力低下や股関節の過少可動性を招く恐れがあります。
股関節の可動性が低下すると、骨盤帯痛や腰痛の出現など、様々な不調を引き起こす可能性があります。
また、締める際に強く締め付けすぎてしまうと、血流が低下し、下肢の循環低下につながります。
臥床してベルトとの間に、掌が入る程度の強さが良いとされています。
産褥期に強く締めすぎてしまうと、悪露などの老廃物が十分に排泄できない、という事にもなりかねないので注意が必要です。
●エクササイズでは、カールアップは行わない
妊娠、出産した殆どの方に腹直筋離開があると言われています。
腹直筋離開とは、大きく引き伸ばされた腹直筋が、白線上で左右に離開した状態をいいます。
離開自体が悪いものというわけではなく、インナーユニットが上手く働かず、腹圧をうまくコントロールできないことなどが問題となります。
また、美容上の問題ともなります。
エクササイズを行う際、一般的な腹筋運動として行われている、カールアップ
(仰臥位にて頭部を持ち上げる)は、離開を悪化させる可能性が高いため、行うべきではありません。
普段の姿勢や動作でも、過度な腹圧がかからないようにすること、そして、インナーユニットの働きを良くしていくことが重要です。
●骨盤を後傾・脊柱を屈曲させた状態での動作は避ける
床などから赤ちゃんを抱きあげたり、立ちしゃがみをしたり、オムツをかえたり等の育児動作を行う際、背中を丸めて行う様子が多々見られます。
妊娠・出産を経て、骨盤底筋群は多大なダメージを受けていますが、そのような不良姿勢での動作を行うと、
弱った骨盤底筋群に対し余計な腹圧がかかりストレスがかかってしまいます。
骨盤後傾・脊柱屈曲での動作は避け、股関節を適切に屈曲させ、脊柱をニュートラルに保つ事が重要です。
とはいえ、中々分かりにくい動作であるため、間違った方法とならないように、専門家の指導を受けることも大切です。
●締め付けるズボンは避ける
産後、骨盤輪の回復段階では、股関節の可動性を阻害するような、ジーンズなどの衣服は出来る限り避けるようにします。
股関節の可動性を阻害する事により、腰部や仙腸関節へのストレスがかかりやすくなるため、できるだけ締め付けのない、循環も阻害しない衣服を選ぶようにします。
●会陰裂傷・切開部の疼痛に対して、円座は避ける
会陰裂傷や切開部の疼痛がある場合、円座にて除圧をすることが良くありますが、円座では患部がうっ血するため、使用には注意が必要です。O型ではなく、うっ血を防げるU型のクッションを使用するなど、工夫が必要です。
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ウーマンズヘルスケア研究会
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