妊娠中の生活指導  ~靴はどんなものがいい?ヒールは?~

妊娠中の靴はどうしたらいいのでしょうか?

 

妊娠中はヒールのないフラットな靴や歩きやすいスニーカーがいいという意見もあれば、

2.3cm程度の低いヒールのある靴の方がいいという報告もあり、様々な意見がありますよね。

 

普段オシャレでヒールのある靴を履いている方や仕事でパンプスを履いている方、冠婚葬祭など…生活スタイル、環境もさまざまです。

 

しかし、妊娠中は流産やその他胎児への悪影響は避けたいもの。

妊娠の経過に伴い身体も変わるため日常生活も気をつけたいところですね。

 

では、実際にヒールによる影響はどのようなものがあるのでしょうか?

 

今回は、ヒールによる影響をお話したあとでどのような靴がオススメかお話ししたいと思います。

 

現在、ヒールの高さやヒールの太さの違いによる影響としては、いくつか研究がされています。

 

動作分析の研究において、10cm程度のハイヒールでは、3cm.6cmのヒールと比べて着床時の衝撃が大きくなる、

推進力が不十分で振り出しにくくなる、関節への負担が大きくなるとの結果が出ています。

 

逆に3cmのローヒールだと着床時の衝撃を吸収する、推進力を高める、

関節への負担が減るとの結果からヒールの中でも3cm程度のローヒールは負担が少なく歩きやすいようです。

 

ヒールなしと、3cm、6cmで比べた研究では、

ヒール6cmではヒールなしとヒール3cmより歩幅とスライド長が短縮し、両脚支持時間はヒールなしよりヒール3cmが短いとの結果が出ています。

 

さらにハイヒールの靴底は床との接地面が狭く、足底の接地面も狭くなります。

踵接地時に接地する面積が一番狭くなるため前足部も同時に接地したり、前足部から接地したりと不安定な姿勢になりやすいです。

 

ヒールの太さの研究では、

太いヒールでは踵接地と前足部接地時の床反力が同じ程度であったが、細いヒールでは前足部接地時の床反力の方が大きい、

また細いヒールでは歩幅、歩隔が狭いとの結果が出ており、細いヒールの方がバランスをとりにくく不安定となりやすいことがわかります。

 

またアンケート調査では、自覚症状としてヒールなしより3cm程度のヒールがあった方が歩きやすいと感じる人も多かったようです。

 

以上の結果からは、ヒールなしか3cm程度のヒールでかつ太いヒールまたは接地面が広いものの方が良さそうですね。

 

妊婦さんにおいては、これらの影響に加えて時期により様々な症状や身体の変化が出てくるため、より注意する必要があります。

 

まず妊娠による身体の変化として次第に腹部が大きくなります。

腹部の重みとバランスをとるために重心の位置がかわり、その影響で背筋や腓腹筋が筋疲労を起こし、こむら返りや腰痛が起こるといわれています。

 

ある研究では、

ヒール3cmの場合は、ヒールなしと比べて底屈筋への負担が軽減し、

結果こむら返りの原因とされている腓腹筋の筋疲労を軽減させているのではないかとの報告があります。

 

身体の変化以外にも

妊娠初期はつわりなどの気分不良や眠気でふらつきやすくなります。

さらに貧血も認めやすいため気をつけなければなりません。

 

また関節がゆるみやすく腰痛を認めたり、浮腫みやすい状態になっています。

これらの妊娠による変化が加わることで通常より転倒しやすい状態になることはわかりますね。

 

このように靴による環境因子と個人の身体変化や体調による個人因子があわさり転倒リスクが高まります。

 

結局は、転倒を防ぐ‼︎

ということが大事です。

 

転倒することで早産や流産のリスクもあるため十分な注意が必要です。

 

大丈夫と思っていてもお腹が大きくなることで姿勢が変わるだけでなく足元も見難くなるため小さな段差に気づかないこともあります。

転んでからでは遅いため気をつけるに越したことはないですね。

 

他にもお腹か大きくなることでしゃがむ動作が行いにくくなるためスニーカーでも紐の調整が必要でないもの、

浮腫みやすい状態のためヒールの靴の中でも窮屈でないものがいいですね。

 

また、元々ヒールを履き慣れている方は多少のヒールがあった方が歩きやすく、

兄弟、姉妹がいる方は育児のためにもスニーカーの方が動きやすいなど環境や生活スタイルも様々ですよね。

 

そこで、どのような靴がオススメかまとめると…

・スニーカーで紐を結ばなくていいもの

・3cm程度以下のヒール

・ヒールが太く床との接地面積が多いもの

・サンダル、ミュールではかかとが脱げにくいもの

 

これらに注意し、自分の環境や習慣に合わせて靴をえらぶことが大切だと思います。

 

 

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました

 

 

 

  

ウーマンズヘルスケア研究会

 

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