気になる妊娠中の食生活 ~必要不可欠な栄養素は?~

妊娠していない時期の女性の1日のエネルギー必要量は約2000kcalです。

 

厚生労働省の「日本人の食事摂取量(2015年版)」では必要エネルギーについて、

妊娠中は一般的なカロリー摂取量に、妊娠初期は1日に50kcal、妊娠中期には250kcal、妊娠後期には450kcalプラスする必要がある、とされています。

 

しかし、摂るべきカロリーは増えますが、各栄養素をまんべんなく増やす必要はありません。

むしろ増やす必要のない栄養素を摂りすぎると、肥満や母体、胎児に望ましくない影響を与える場合もあります。

 

特に、妊娠中に不足しやすく、積極的に摂取したい栄養素を次に紹介します。

 

 

◇ビタミン

1)葉酸

妊娠前からの摂取が厚生労働省により推奨されている水溶性ビタミンです。

葉酸はビタミンB群の中の1つで、細胞分裂にも関わり、胎児の成長にとても重要です。

 

葉酸が不足すると、胎児の「神経管閉塞障害」という先天異常の発生リスクが高くなります。

葉酸は、ほうれん草やブロッコリー、モロヘイヤ、菜の花などの葉物野菜に多く含まれています。

 

しかし1日1mgを超える過剰摂取は、吐き気や食欲不振などの症状が現れることがあるため、推奨量を守ることが大切です。

サプリメントなどを用いる場合にも、服用量には注意が必要です。

 

2)ビタミンB1

ビタミンB1は水溶性ビタミンの1つでチアミンとも呼ばれます。

体内でビタミンB1は糖質を分解し、エネルギーを作り出す酵素の働きを助ける補酵素として働きます。

 

ビタミンB1が不足すると、脚気やウェルニッケ脳症を引き起こします。

 

つわりで極端に食事が取れない場合は、ビタミンB1不足になるため注意が必要です。

そのような場合にはすみやかにかかりつけ医に相談してください。ビタミンB1は豚肉、うなぎ、小麦粉、豆類に多く含まれます。

 

3)ビタミンB2

ビタミンB2はリボフラビンと呼ばれ、水溶性ビタミンです。糖質、たんぱく質、脂質からエネルギーを作ったり、皮膚や粘膜などを健康に保つ働きがあります。

そのため、不足すると、胎児の発育障害、口内炎や肌荒れを引き起こします。ビタミンB2を多く含む食品には、レバーや牛乳、卵があります、

 

4)ビタミンB6

ビタミンB6はたんぱく質の代謝で重要な役割を果たしています。特に皮膚や粘膜わや健康に保っています。

また、ビタミンB6にはつわりの症状を軽減する効果があるといわれています。

 

ビタミンB6を多く含む食品には、まぐろ、いわし、かつお、鶏肉、にんにくがあります。

 

5)ビタミンB12

ビタミンB12は葉酸とともに、赤血球をつくり、貧血の予防に重要な栄養素です。その他、神経伝達に関する働きや、睡眠リズムを整える働きもしています。

不足すると貧血となり、胎児の発育障害を引き起こす可能性もあります。ビタミンB12は肉類や魚介類の動物性食品に多く含まれます。

 

6)ビタミンC

ビタミンCは体の酸化をふせぐ抗酸化物質です。

ビタミンCはウイルスや病原菌と直接戦う作用があるため、免疫力が低下する妊婦にとっては、病気を予防する効果もあります。

 

また、ミネラルの鉄の吸収効率もあげてくれます。

ビタミンCはアセロラやレモン、柿、イチゴ、キウイ、ピーマンなど果物や緑黄色野菜に多く含まれます。

 

◇ミネラル

7)鉄

鉄は胎児の成長のために、1番必要とされる微力ミネラルの1つです。

妊娠すると不足しがちとなり、鉄欠乏生貧血となる女性も多くみられます。

 

鉄は、血液の赤血球中のヘモグロビンの構成成分で、ヘモグロビンは酸素を全身に運ぶ役割をしています。

貧血になると、胎児の発育に影響を与えます。

 

鉄を多く含む食品としては、レバーが有名ですが、ビタミンAも多く含むため、過剰摂取には注意が必要です。

また、牛もも肉、あさり、しじみにも多く含まれます。

また、ほうれん草や小松菜などに含まれる鉄分は消化管からの吸収率は低いですが、ビタミンCやたんぱく質と一緒に摂取することで!吸収がよくなります。

 

8)カルシウム

カルシウムは胎児の骨や歯の形成に必要な栄養素です。

また筋肉の収縮をコントロールしたり、神経の興奮を抑えたりする働きがあります。

 

牛乳や乳製品、大豆食品に多く含まれています。

 

9)マグネシウム

マグネシウムはカルシウムの吸収において、大切な役割を果たすミネラルです。

妊娠時には、胎児の骨の形成などにカルシウムが消費されるため、不足しがちとなります。

妊娠中に不足すると、妊娠高血圧症に繋がる可能性もあります。

 

カルシウムとマグネシウムは2対1の割合でとることが良いとされています。

マグネシウムを多く含む食品には、オクラや納豆、枝豆、ワカメなどがあります。

 

10)亜鉛

亜鉛は核酸やたんぱく質の代謝にも関係するミネラルで、胎児にとっても不可欠です。

妊娠中に不足すると、胎児の奇形や発育不良を招き、早産へ繋がる可能性もあります。

 

亜鉛を多く含む食品には、牡蠣、牛肉、チーズ、卵などがあります。

亜鉛はつわりの症状を軽減するともいわれており、不足しないようにしたい栄養素です。

 

◇たんぱく質

たんぱく質は血液や筋肉、皮膚、髪の毛など人の体を構成する大切な栄養素の1つです。

胎児にとっても重要な栄養素の1つで、不足すると、低出生体重児として生まれるリスクも高くなります。

 

厚生労働省の基準では、通常18歳以上の女性は1日50g、妊娠中は初期には50g、中期は60g、後期には75gの摂取が推奨されています。

 

妊娠中には、ホルモンバランスや体調の変化により、栄養不足になることも多くあるかもしれません。

おやつとして小分けにして栄養を補給したり、食べやすい料理にしたりなど、無理なく、バランスよく栄養素を摂取できればと思います。

 

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました

 

 

 

  

ウーマンズヘルスケア研究会

 

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