子宮筋腫とは
子宮に出来る平滑筋細胞由来の良性の腫瘤のことをいいます。
筋腫そのものが生命にかかわる事はありませんが、放っておくことで様々な症状を引き起こします。
原因ははっきりとはしていませんが、卵巣ホルモンであるエストロゲンにより発育するため、初経前にみられることはなく、月経期に増大し、
閉経後には一般的に縮小します(エストロゲン依存性良性腫瘍)。
30歳以上の20~30%にあると言われており、頻度の高い婦人科の病気です。
特に30歳~40歳代に多くみられ、大きさは大豆くらいの小さなものからこぶし大の大きいもの、数も1個から10個以上とさまざまで、
大きさや数により症状にも個人差がみられます。
厚生労働省が平成23年に実施した調査では、患者総数は年々増加傾向にあります。不妊症や流・早産の原因にもなります。
【症状】
子宮筋腫の症状は大きさや数、筋腫のタイプにより様々です。自覚症状がまったくなく、検診などでたまたま発見されるケースも多くみられます。
一般的には漿膜下筋腫、筋層内筋腫、粘膜下筋腫の順に症状が強くなる傾向にあります。
症状は、月経痛や過多月経、過長月経、不正出血などの月経異常が多くみられます。
過多月経は子宮筋腫の症状として最も多く現れます。過多月経の目安としては、出血量が多い、10日以上継続する、レバー状の血の塊が出る、などが挙げられます。
出血量が多いため、貧血症状も出やすくなります。月経量は他との比較ができないため、異常に気付かないこともあります。
子宮筋腫が大きくなると、しこりを触れたり(腫瘤感)、また、周囲臓器を圧迫する事により、頻尿、排尿困難、便秘、腰痛などの症状も起こります。
不妊や流産・早産の原因になることもあります。
【種類】
○筋層内筋腫
筋腫全体の70%を締めます。筋肉の中にできるため、初期には症状が出にくく、気づかない場合も多いようです。
筋腫が大きくなると、しこりを感じたり、前屈をした際に圧迫感や違和感を感じる場合もあります。
大きさが大きくなると内膜への影響が出始め、過多月経などの症状が出現します。
○漿膜下筋腫
子宮の外側にでき、抵抗の少ない子宮の外側に向かって大きくなる筋腫です。症状は軽いことが多く、不妊の原因になる事は稀と言われています。
○粘膜下筋腫
子宮の内膜側にできる筋腫で、子宮の内側に向かって大きくなります。
1cm程度の大きさでも痛みや出血などの症状が出る事があります。
大きくなると、子宮内膜を圧迫し表面積が増加するため、月経量の増加や月経痛、不正出血などの症状が出やすくなります。
また、受精卵が着床しにくく、不妊の原因にもなるとされています。
【不妊と子宮筋腫】
子宮筋腫が不妊原因となる場合
1. 筋腫が卵管口や卵管を圧迫することにより、精子や卵子の通り道がふさがれる
2. 子宮内膜圧迫による着床障害
粘膜下筋腫は子宮内膜の下にいるために子宮内膜に大きな影響を与えます。特に卵子の育つ内膜環境に悪影響を与えるために着床を妨げてしまいます。また、着床してもキープできず、流産の原因になってしまいます。
しかし子宮筋腫をもったままでも、自然に妊娠出産される方も多く、必ずしも不妊となるわけではありません。
不妊原因として明らかな場合は、加療が必要となります。
【診断】
問診、内診、超音波検査、MRI、血液検査、その他(子宮卵管検査、子宮鏡検査)などを行います。
【治療】
○経過観察
小さな筋腫で、貧血などの症状のないもの、ある程度の大きさと症状があっても閉経が近い年齢や閉経後であれば、定期的に診察し経過をみます。
積極的な治療法としては、薬物療法や手術療法が行われます。
○薬物療法
子宮筋腫の発育因子となるのは女性ホルモンであるため、ホルモン剤で排卵や月経を抑えて、筋腫を萎縮させます。
○手術療法
手術療法は、筋腫の大きさがこぶし以上、貧血などの症状が強い、筋腫の発育速度が速い、不妊や流産の原因と考えられる、閉経後でも大きな筋腫で増大傾向があり悪性化がうたがわれる場合などに行われます。子宮全摘術、筋腫核出術、子宮動脈塞栓術などがあります。
【予防】
はっきりとした原因がわからないため、予防法はありません。しかし、早期に発見することは可能です。
無症状であることも多く、気づいたら大きくなってしまっていた、という事もあります。
月経は健康のバロメーターです。このような事を防ぐために、普段からの月経の状態を把握しておくことがとても重要になります。
その他にも、様々な女性特有の病気があります。子宮内膜症、月経困難症など、取り返しのつかない状態になる事を防ぐために、
健やかに過ごすために、ご自身の身体に目を向け、異常があればすぐに受診する事ができればいいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました✨
ウーマンズヘルスケア研究会
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