前回のお話した、分娩の難易を決定する3つの要因。
①娩出力
②産道
③娩出物
これらの相互関係によって決まります。
そして、今回は3つ目の娩出物についてお話します。
娩出物は、胎児の他に、胎盤や臍帯、羊水、卵膜があります。
分娩の経過では、胎児の大きさや胎位、胎勢が影響すると言われています。
特に、胎児の先進部であり、身体の中で最も大きくかたい頭部は、産道通過の難易を決定する重要な要因となります。
胎児の頭蓋は、左右に一対の前頭骨、頭頂骨、側頭骨と1つの後頭骨、蝶形骨、篩骨からなります。
化骨が不十分で柔らかく、相互の骨間にある縫合や泉門は皮膚の上から簡単に触知できます。
分娩時には児頭は、産道の抵抗を受け、縫合および、泉門の部分で少しずつ重なり合い、母体の骨盤帯に合わせて変形することにより、
産道内を容易に通過することができます。
この性質を応形機能と呼びます。
また、胎児の状態によっても分娩の難易を左右します。
胎児の状態は、胎位、胎向、胎勢に分類して表現し、正確に確認するためには、腹壁を弛緩させて評価する必要があるとされています。
胎位についてですが、胎児の縦軸と子宮の縦軸の位置関係をさします。
両軸が並行となる場合を縦位、両軸が交差するものを横位または斜位と呼びます。
縦位のうち、児頭が子宮の下方にあるものを頭位、児骨盤が下方にあるものを骨盤位と言います。
胎位は変化しやすく、妊娠中期では骨盤位である割合が30〜40%ですが、妊娠末期から分娩時には99,8%は縦位でその中の95%が頭位であります。
次に胎向です。
縦位の場合は、胎児の背中と母体、横位の場合は胎児の頭と母体との関係をさします。
縦位では胎児の背中、横位では胎児の頭がそれぞれ母体の左側を向いているものを第1胎向と呼びます。
反対に母体の右側を向いているものを第2胎向と呼びます。
更に、胎児の背中が前方に偏っているものを背前位、後方に偏っているものを背後位と呼びます。
その中で、母体の腹腔の右側に肝臓、下大静脈も正中より右側に位置するため、背前位は全体の3分の2を占めると言われています。
最後に、胎勢です。
子宮内での胎児の姿勢のことをさします。
下顎を胸に近づけて、背中を丸めているのを屈位、頭を後方に伸展させ、体幹を反らせているものを反屈位と呼びます。
正常な胎勢は屈位であり、この胎勢では分娩時に小泉門が先進し、胎児の頭は最小前後径である小斜径で骨盤内に進入します。
これに対して、軽度反屈位、中等度反屈位、高度反屈位は異常胎勢と呼ばれ、分娩の難易度は高くなります。
分娩の難易度が高くなると、母子共に危険な状態に陥ることもありますので、近年では一般的に帝王切開で対応されることが多くなります。
上記のことから、赤ちゃんが良い姿勢でお産の準備に入れるようにしておくことは大切だと考えられますね。
一つの方法として、腹部のスペースを広くしておくと良いでしょう。
具体的には、肋骨の可動性を広げておくこと、背中を硬くしないようにしておくこと、姿勢を整えることで腹部のスペースを確保できる可能性があります。
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ウーマンズヘルスケア研究会
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