女児に多い整形疾患。
乳幼児期〜思春期の期間において時期別にみていくと、
<乳幼児期>
発育性股関節形成不全
<学童期・思春期>
股関節臼蓋形成不全症、特発性脊椎側彎症、前十字靭帯損傷、膝蓋骨亜脱臼症候群
などがあげられます。
今回は、一つずつ簡単に説明していきたいと思います。
◼︎発育性股関節形成不全
乳幼児期の発育性股関節形成不全は、男児の約8倍ともいわれています。
発育性股関節形成不全とは、生まれてきたときにすでに脱臼しているか周産期の姿勢異常に臼蓋形成不全を伴う、亜脱臼状態や後天的に脱臼しうる状態と
広い疾患概念があります。
乳幼児期の発育性股関節形成不全では、股関節痛や開排制限や脱臼感を認めます。
後天性としては、オムツの間違ったつけ方や抱っこの仕方など育児習慣が影響しているとも言われています。
高リスク因子としては、女児、第一子、骨盤位での出産、冬季の出産があげられます。
◼︎股関節臼蓋形成不全症
骨盤は思春期に女性ホルモンの影響をうけて形状がつくられ、思春期以降に完全な骨盤の形となります。
また頚体角は女性の方が小さく、前捻角は大きいという特徴があります。
学童期・思春期における股関節臼蓋形成不全症は、運動能力が高まり、股関節痛を認めることで股関節臼蓋形成不全症がみつかることがあります。
原因は明確ではないようですが、進行すると大腿骨側の軟骨に磨耗が生じ軟骨が磨り減ります。
その結果、股関節の変形、炎症を起こしてしまいます。
股関節痛を認めない場合もあるため、レントゲン撮影や受診をせず股関節臼蓋形成不全症の診断がつかないまま歳を重ね、変形性股関節症を認める場合があります。
◼︎特発性脊椎側彎症
特発性脊椎側彎症は、脊椎側彎症のなかでも約8割をしめると言われています。原因は遺伝の説もあるようですが明確ではなく、原因不明のため特発性となるようです。
特発性脊椎側彎症は、時期により乳児期側彎症、学童期側彎症、思春期側彎症に分けられます。
そのなかでも思春期側彎症が高率であり、二次性徴のタイミングに関与しているのではないかとも言われています。
思春期側彎症は、圧倒的に女児に多いとされており、初潮の2、3年前頃から進行がみられやすいと言われています。
◼︎前十字靭帯損傷
前十字靭帯損傷に関しては、思春期をピークに2〜8倍女性に多いといわれており、スポーツ中に起こりやすいといわれています。
前十字靭帯損傷が女性に多い理由としては、関節弛緩性や解剖学的構造によるもの、ホルモンの影響などがあげられます。
以前のコラムでも前十字靭帯損傷について書いているので興味があればご参照ください。
◼︎膝蓋骨亜脱臼症候群
膝蓋骨亜脱臼症候群は、膝蓋骨が外側にずれやすくなる状態です。
膝蓋骨亜脱臼症候群は、思春期の女児に多いとされています。
あしを動かしたりジャンプの着地時など運動時に膝前面や膝蓋骨周囲に痛みを認めやすく、長時間座ると痛みを伴う場合があります。
原因としては、膝蓋骨に対して筋肉の発育が遅く、筋力が弱いために膝蓋骨が引っ張られてしまい亜脱臼の状態になります。
2〜5割が再脱臼を起こしやすく、大腿四頭筋の筋力訓練やサポーターでの予防を行います。
女児に起こる原因としては、
原因がはっきりしていない疾患も多いです。
しかし、女性の特徴である関節弛緩性や筋力の弱さ、成長ホルモン、骨盤の形状が影響していると考えられます。
それに加え、女児という時期においては骨形成の途中や靭帯・筋肉の発育が不十分な時期であるために起こりやすいようですね。
最後までお読みいただきありがとうございました✨
ウーマンズヘルスケア研究会
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