妊娠すると、胎児の成長につれて、腹部が突出し大きくなってきます。
妊娠中は、身体面の変化は非常に著明です。
非妊娠時の子宮は、縦の長さは約7㎝、横の長さは約3~4㎝、重さは約40~50g程度で、鶏の卵くらいの大きさです。
それが妊娠後期になると、縦の長さは約36㎝以上、横の長さは約24㎝、重さは約800~1,000gとなり、長さや幅は約5~6倍、重さは約20倍にもなります。
腹直筋は15cm程長くなると言われており、内腹斜筋、外腹斜筋、腹横筋などの側副筋群も引き伸ばされ、筋厚は薄くなっていきます。
腹直筋離開とは、この大きく引き伸ばされた腹直筋が、白線上で左右に離解した状態をいいます。
臨床上、2横指以上の離解がある場合を腹直筋離開がある、と判断します。
<評価>
①仰向けに寝て両膝を立てる
② あごを引いたまま、ゆっくりと頭と肩を持ち上げる(カールアップ)
③おへその位置やその上下に3ヶ所を触る
④離開していれば、割れ目に2横指以上指が入る
ホルモンの影響や逆子など、腹直筋離開になる原因は様々あるといわれています。
腹直筋離開自体は、妊娠中や産後しばらくは良くみられるため、気が付かずに過ごしている場合もあります。
しかし、中には重症化したり、元に戻らない場合もみられます。重症例では、離開部に膨隆がみられ腹部臓器のヘルニアを起こしていることもあるため、注意が必要です。
また、経産婦は初産婦に比べて腹直筋離開が産後も残る場合が多いと言われています。
症状の一例として、
・お腹に力が入らない
・肩こりや腰痛がある
・でべそになった
・お腹のたるみ、しわが戻らない
・産後しばらく経つのにお腹がポッコリしている
、、、などがあります。
見た目にも影響するため、機能面だけではなく、美容面でも問題となります。
腹横筋の線維は臍下付近では、腹直筋の上方を白線で交差するように走行しています。そのため、腹直筋離開が重度の場合には腹横筋の収縮が入りにくく、腰痛などの原因にもなります。
離開自体が悪いものではなく、インナーユニットが上手く働かず、腹圧をうまくコントロールできないことなどが問題となります。
腹筋を鍛えようとして、一般的に腹筋運動として行われている仰向けで頭や上半身を持ち上げる「クランチ」と呼ばれる運動は、逆に、腹直筋離開を増悪させてしまう可能性が高いので注意が必要です。
また、ソファーに仙骨座りをしたり、股関節をしっかり使えずに背中が丸くなった状態で赤ちゃんを持ち上げるなどのお世話をすることも、腹部に過度な負荷がかかってしまいます。
日常生活での姿勢や動作の影響は多大です。
まずは、普段の姿勢や動作に気を付け、過度に腹圧がかからないようにすること、そして、インナーユニットの働きを良くしていくことが重要ですね。
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ウーマンズヘルスケア研究会
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